現代の貴族へささげる贈り物

ヨーロッパの上流階級の人々は、昔から上質なものを長く使い続けることを習慣にしてきました。それは、先祖代々受け継いできたものだったり、職人が命を削るようにして作ったものだったり、あるいはパートナーからプレゼントされたというストーリーを大切にしているからです。

もう一つの理由として、時間とともに変化していく味わいにも価値を見い出しています。例えば王侯貴族に好まれたマホガニー材の家具は、光や空気に触れることで淡い色の木目が、だんだんと深みを増して赤褐色に変化していきます。ペルシャ絨毯は踏まれることによって色味を増しますし、最高級皮革のブライドルレザーは、愛用すればするほど美しい光沢があらわれます。それは新品では持ち得ない味わいです。

また、紀元前からヨーロッパの貴族階級では、アンティークコインを収集して「家宝」として受け継ぐ家もありました。コインには資産的な価値があるのはもちろん、秀逸なデザインや経年変化も楽しめます。銀や銅は長い時間が経つにつれゆっくりと表面が酸化し、ブルー、レインボー、ブラックトーンという独特な変化が生まれます。

そんな硬貨を見て、貴族たちは「どんな風に時を過ごして来たら、このような美しい色合いになるのだろうか……」と悠久の時に想いをはせるのです。

上質な製品たちは長い時を共に過ごすことで、さまざまな思い出が宿ったかけがえのない存在になっていきます。貴族たちはそういったものに囲まれることで、お金にはかえがたい豊かさを感じていたことでしょう。

大量生産、大量商品が主流である現代にも、本当に価値のあるものに目を向ける方々がいます。このブランドのプロダクツは、そんな現代の貴族たちへささげる贈り物です。